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2014/10/09 売買契約の基本事項(3)



当ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
 
 9月も終りましたが、今年は残暑という残暑がほとんど無く過ごしやすかったですね。
朝晩は肌寒く感じる日もありましたので「残暑はどこ??」って感じた人も多かったのではないでしょうか。
なんでも平均気温より2度ほど低かったようです。10月の気温は平年並みとの予想です。
 
 平成26年6月25日、宅建業法の改正法が公布されました。これにより、「宅地建物取引主任者」(宅建主任者)は、「宅地建物取引士」へと名称が変更されることになります。
 この改正での変更は、名称の変更と欠格事項として暴力団員が明記されたくらいで、業務の変更は特に無いという事です。




 
 




 
 先日、上記改正に伴う法定講習の改正内容の検討報告書というのが出されましたが、それによると講習料1,000円程度引上げ・講習時間の1時間増加という内容でしたので、負担が増えるなぁと感じました。
 
これからは、「宅建士」と呼ばれるのでしょうか??
 
 
 
 
 
 
 
・売買契約の基本事項について(1)(2014.06.26)は こちら
・売買契約の基本事項について(2)(2014.08.07)は こちら
 
 
 
【危険負担の特約】
 売買、賃貸借のような双務契約(両当事者が互いに対価的な意味をもつ債務を負う契約)において、各債務が履行される前に、一方の債務が債務者の責に帰すことができない事由で履行が不能となって消滅した場合、他方の債務はどうなるのか、という問題を危険負担の問題という。
 例えば、売買契約締結後、引越し前に目的物である建物が類焼によって焼失したり、地震によって倒壊したりして、売主の建物引渡債務が消滅した場合に、買主の方の代金払債務は消滅するのか、しないのか、という問題である。
 この危険負担の問題については、民法に原則的な規定がある。
 
(1)債権者の義務の原則
 建物の売買のような特定物の売買を典型例とする特定物に関する物権の設定・移転を目的とする双務契約においては、債権者が負担を負担するのが原則である(民法第534条)。これを、危険負担債権者主義という。ここで買主を「債権者」というのは、滅失・毀損した建物について考えると、その建物の引渡請求権(債権)を有するのは買主だからである。
 これに従えば、例えば、建物の売買契約が成立したのち、引渡し前に売主の責に帰すことができない事由で建物が滅失した場合、買主は代金を支払わなければならず、その建物毀損した場合でも、代金の減額請求はできない。
 
(2)停止条件付き双務約の場合
 例えば、転勤が決まったときに売買契約の効力が生ずるというような、停止条件付きの双務契約の場合で、条件の成否が未定のときに目的物が滅失したり、既存したときは、その態様により危険負担の取扱いが異なる。
 滅失の場合は、債務者(売主)が危険を負担し、買主は代金を支払わなくてよい。しかし、既存の場合は、債権者(買主)が危険を負担し、売主は既存の状態のまま買主に引渡せば足りることとされている(民法第535条)
 
(3)特約の自由
 ただし、上記の民法の規定は任意規定であり、その債権者主義の原則は、従前からの取引上の慣行、あるいは、当事者間の公平の観念から実際の実務の世界では、「不可抗力により、目的物が引渡しまでに滅失した場合、買主は契約の解除ができる。」、「引渡までに目的物件が毀損した場合、買主はその補修を要求することができる。」というように債務者(売主)が危険を負担する旨の特約をすることが多い
 
 公益社団法人神奈川県宅地建物取引業協会制定の売買契約書にも「本物件の滅失等による契約の解除」として
「1.本物件の引渡し以前に天災又は不可抗力により本物件が滅失もしくは毀損し、本契約の履行が不能もしくは困難となったときは、乙はこの契約を解除することができるものとします。この場合において、乙は甲に対し損害賠償を請求しないものとします。
2.前項の場合、甲はすでに受領した手付金その他の金銭をすみやかに乙に返還しなければなりません。」
という条文があります。
 
【契約当事者の死亡】
 契約締結後に当事者の一方が死亡した場合、契約の効力はどうなるのかの問題がある。
 契約がいったん締結されれば、たとえ当事者の一方が死亡しても、契約の効力は失われない。契約の締結によって、当事者には一定の権利義務が生ずるが、当事者の死亡によって相続が開始され、それらの一切の権利義務を相続人が承継することになる。そのことは当事者双方が死亡した場合でも、それぞれの当事者について同じことが言える。死亡した者(被相続人)の有していた権利義務、すなわち売主であれば代金支払請求権、目的物の引渡義務、登記の移転義務、買主であれば目的物の引渡請求権、移転登記の請求権、代金支払義務などについて相続人が承継することになる。
 
 従って、買主が死亡した場合、売主は相続人全員に対し売買代金の支払を請求し、買主の相続人が単独相続の場合には目的物の全部について、共同相続の場合にはその相続分に応じた持分について所有権の移転登記を請求することとなる。また、売主が死亡した場合に、売主の登記移転義務はその相続人が承継し、この義務は不可分債務であるゆえに相続人全員が登記申請者とならなければならない。もし、相続人中に登記申請に協力しない者がいるときには、その者に対して移転登記請求の訴えを提起せざるを得ない。勝訴判決の確定により、買主は移転登記の申請をすることができる。
 もっとも、売主側の共同相続の場合、早い時期に共同相続人間で遺産分割協議が整い、その目的物件を取得する者が決まれば、買主は、その者を相手に目的物件の引渡しや移転登記を請求することができる。
 契約上の権利義務を承継した相続人が、その義務を履行しない場合、または、反対に相手方の義務を履行しない場合における法律関係は、通常の場合と異なるものではないが、共同相続人から、または、共同相続人に対して契約を解除する場合には、相続人全員から、または相続人全員に対して解除権を行使しなければならない(民法第544条第1項・解除権の不可分性)。ただし、共有物を目的とする賃貸借契約の解除は、民法第252条本文により、全員でなすことは要しない。
 
 買主が死亡した場合は、代金にしても共有持ち分も個別に請求できるので、代金支払・移転登記の請求もそれぞれ持分に応じて請求する事になります。
 
 売主が死亡した場合は、相続人それぞれの持分を所有権移転されても困るので「不可分」として相続人全員で登記申請しなければならないという事です。
 
今回は、売買契約で起こりうる事について記載しました。
あまり、起こる事は無いとは思いますが、備えあれば憂いなしと言いますので。
 
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